タケノコモグリハナバエ

 3月に入り、天気が悪く、寒い日もありましたが、快晴で風も強くなく、気温が高い日もあったため、調査に行きました。もうすぐ筍が出る季節になり、そろそろ発生するであろう双翅目の種を目当てに竹林に近づくと早速ハナバエ科の一種に出会えました。この種はタケノコモグリハナバエ Pegomya kiangsuensis Fanであり、中国では筍の害虫として認識されています。

 本種は2018年に日本から初めて記録され、中国からの筍の輸入の増加に伴い侵入してきた可能性が考えられています。本州(茨城、埼玉、東京、千葉、神奈川、静岡、岐阜、愛知、三重、奈良、和歌山、滋賀、京都、大阪、兵庫)と淡路島から記録があるようであり、2月下旬から5月上旬にかけて成虫の採集例が報告されています。春に竹林に入れば本種の記録がない地域でも採集できる可能性があると考えられるため、見かけたら採集するようにしています。

参考文献

深沢勇太(2022)Pegomya kiangsuensis タケノコモグリハナバエを神奈川県にて採集.はなあぶ,54:14-15.                                                      春澤圭太郎(2020)Pegomya kiangsuensis Fan, 1964 タケノコモグリハナバエ(和名新称)を西日本各地から記録.はなあぶ,49-1:2-4.
市毛勝義(2019)Pegomya kiangsuensis(双翅目:ハナバエ科)を茨城県で採集.はなあぶ,47:10.
桂孝次郎(2020)Pegomya kiangsuensis タケノコモグリハナバエ(双翅目:ハナバエ科)を淡路島にて採集.はなあぶ,50:5.
Suwa, M. (2018) Discovery of Pegomya kiangsuensis Fan, 1964 in Japan (Diptera: Anthomyiidae). Japanese Journal of Systematic Entomology, 24: 234-237.             内山義正(2025)新たに侵入したハナバエ類によるタケノコの被害実態.公立林業試験研究機関研究成果集, 22:63-64.                                       吉澤聡史(2022)入間郡越生町におけるタケノコモグリハナバエ(双翅目:ハナバエ科)の記録.寄せ蛾記,186:55.

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