スズメバチ類の巣内には別の昆虫類が生息していることがあり、双翅目ではハナアブ科ベッコウハナアブ属の種がそのような生活史をもつことが知られています。12月に入っても、まだ活動しているコガタスズメバチの巣を敷地内で発見したため、巣内に共生する双翅目目的に明け方の気温が低い時間帯に駆除することにしました。



高枝切りバサミなどを用い、周囲の枝などを切りながら、巣を回収すると破損させた部分から巣内の状況を見ることができ、気温が低いため活動できない個体が数十頭確認できました。この時期になっても幼虫が確認され、この先蛹化しても厳冬期に入り、生存できないのではないかと考えつつ、巣内を探索しましたが、双翅目の種は確認されないまま終了しました。





双翅目にはシロアリの巣内に生息するノミバエ科の種やアリの巣内に生息するハナアブ科のアリノスアブ類なども知られているため、他の社会性昆虫類の知識を身に着け、それらの調査も将来的にしたいと考えています。双翅目は他の生き物と深い関係を築いている種が多く、調べていくうちにそれらの新知見が得られるのではないかとも期待できる分類群であると考えられます。
参考文献
Hironaga, T. and Maruyama, M. (2004) The myrmecophilous hoverfly genus Microdon (Diptera, Syrphidae, Microdontinae) in Hokkaido, Japan, with descriptions of four new species. Bulletin of the National Science Museum, Tokyo Serie A, 30: 87-103.
岩田泰幸・真嶋豪(2018)<解説> スズメバチの巣で見つかる昆虫.寄せ蛾記,170:1-11.
Maruyama, M., Komatsu, T. and Disney, R. H. L. (2010) Discovery of the termitophilous subfamily Termitoxeniinae (Diptera: Phoridae) in Japan, with description of a new genus and species. Entomological Science, 14: 75-81.
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