カトリバエ属 Lispeはイエバエ科 Muscidaeに属する昆虫の一群であり、世界中に広く分布しています。本属の種は湿地や海岸、河川周辺などの水辺環境に生息し、カ科 Culicidaeやユスリカ科 Chironomidaeのように体が小さく,軟弱な双翅目昆虫類を捕食することが知られています。日本においては20種の分布が確認されており、一部の種は海岸環境に生息しています。
今回紹介する2種、ウミベカトリバエ Lispe aquamarina Shinonaga and Kano(写真上)とイワミハマカトリバエ Lispe pseudohirsutipes Kakinuma and Kurahashi(写真下)は同じ海岸で採集されましたが、ウミベカトリバエが波打ち際の岩場(岩礁)に集まる習性があるのに対し、イワミハマカトリバエは河口や海岸の水際の砂上に集まる習性があります。




海浜における環境の変化に着目して調査を行うことが海浜性双翅目昆虫の種多様性や生活史の解明のために必要なことであると考えられます。
参考文献
柿沼進・倉橋弘(2016)Lispe flavicornis Stein ミヤコカトリバエ(新称)(双翅目:イエバエ科)の宮古島と台湾からの記録.はなあぶ,42: 33-34.
吉澤聡史(2025)関東地方におけるウミベカトリバエとイワミハマカトリバエ(双翅目:イエバエ科)の新記録.衛生動物,76: 151-152.
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