春に見られるビロウドツリアブ

 4月、最高気温が30℃近くにまで上昇する日もあり、いろいろな昆虫類が見られるようになってきました。晴天の日に近くの野山に採集に行くことができ、様々な双翅目の昆虫に出会えました。この時期に目にしやすい種としてツリアブ科のビロウドツリアブ Bombylius major Linnaeusがいます。この種は春季に現れ、ツリアブ科の中で最もよく見られます。本種が属するビロウドツリアブ属 Bombylius の種の幼虫はハナバチ類に寄生するといわれており、地面に静止する個体も見られるため、寄主を探索しているのではないかと考えられます。

 また、ビロウドツリアブ属にはシバカワツリアブ B. shibakawae Matsumuraという種がいるらしく、翅の斑紋が後縁になるにつれて薄くなっていくなど、ビロウドツリアブとの形態的差異が見られ、個体数も少ないとのことです。この種は本州特産であり、主に西側で確認されているらしいです。普通種と考えられる昆虫でもたくさん採集してみると珍しい種が混ざっていたり、新しい発見が得られるかもしれないと考えています。

参考文献

大石久志・篠木善重・紺野剛(2020)日本産ツリアブの同定.はなあぶ, 49-2:1-134.

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